誰もが知るアニメ作品の映画公開に合わせ、そのキャラクターを用いたある大手菓子メーカーの商品プロモーションキャンペーン。施策の立案からパッケージ・グッズ・店頭POP・WEBのデザインやサイト演出とともにこのプロジェクト全体を管理してつなぐディレクションが、クリエイティブの肝だと実感する案件だったと、インフィニティスタイルのディレクターは振り返った。
キャラクター使用案件では、メーカー企業、代理店、出版社、作者、と関わる人数規模は大きくなる。
そして、アニメのファンにはメーカー商品を通じて想像以上のワクワクを感じてもらいたい。今回は4ブランド合同、行われるやり取りの情報量も膨大になる。一方で、それらは曖昧だったり、不確定だったり、中には誰もがジャッジしかねることが時折発生することも。しかし、「う~ん…」と立ち止まっている時間はない。発売日は迫ってくる。関わる人数が多いというのはつまり、OKを得なければいけない段階が増えるということ。少しの解釈の違いや、認識の齟齬が生じると、進行が遅れ一度遅れるとどんどんタイトになっていく。また、意図をはっきりさせないままの案を出すと、時間とリソースが無駄に転じてしまう危険性も生じる。そこで、インフィニティスタイルの密なコミュニケーションと「読み解き、予測、決断、組み立て」のディレクション力が活きることになる。
メーカー・代理店からチェックバックされてくる訂正内容や資料を総合的に解釈すること、メーカーのこれまでのキャンペーンを紐解いて掴む空気感、温度感のトーン&マナー、ターゲットであるキャラクターのファン層の属性などを読みとり、予測して組み立てていく。決断の連続。
商品メインにしたいメーカー、キャラクターをメインにしたい版権者、それは当然のこと。それを、どちらも満たして発売するのがクリエイティブの仕事だ。時には無理難題や「ちょっと違う方向に行ってしまうのでは…」と思うことも。 でも、そんな時こそ力の発揮のしどころ。当案件の担当ディレクターから話を聞いていると、メーカー企業の方々よりもさらに、その企業を理解することを大切にしているからこそ、俯瞰で見て、納得していただけるフィードバックができるのだと筆者は率直に感じた。
生活者が、日常何気なく目にして楽しんでいただけているキャンペーンには出来上がったものからだけでは計り知れない、いろいろなことが積み重なっているようだ。