23/05/31

カタチのないところからが面白い。―コンセプトモデル企画開発から海外発表まで

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2018年の春、インフィニティスタイルのディレクターはアメリカのテキサス州で行われたあるテックフェアで、「ペット用IoTアイテム」の展示ブースにいた。そこではブースのデザインをはじめ、ペット事情が日本より盛んなアメリカや各国からの来場者への英語での説明、その場でのリアルな反応、各メディアからの取材などを経験することになる。

当件は、ある大手メーカーのコンセプトモデルの企画開発の案件だった。終わってみれば、従来のクリエイティブディレクションの枠には収まらなかったこんな仕事のとっかかりも、「インナー案件のアイデアのお手伝い」という、アイデア相談レベルのような感じのもので、ここまで発展するとはディレクター自身、想像していなかったという。

これまで通り、商品プロモーションの一連か。と思い、ふたを開けてみると、大手メーカー内部の「次世代社会に貢献するプロダクト」を生み出すための部署横断プロジェクトに外部スタッフとして参加することだった。チームのお題は「愛犬」。メンバーはメーカー内のマーケティング、営業、開発等あらゆる部署から集まった、「愛犬家の強い味方になるコンセプトモデルを創りたい」という想いの集団。
最初は、カタチすらないところからの出発だった。

そんなプロジェクトチームにインフィニティスタイルが外部として関わる役割は、コンセプトの整理からサムネイル・ラフ作成、機能のアイデア出しはもちろん、外部だからこそできる、客観的立場の視点とファシリテーションだったのだと、彼らは自負している。

進行にあたってこだわったところは、コンセプトモデルらしくイノベーティブであること。日本国内だけでなく広く世界で通用するようにということ。そしてどれだけ創造性を飛躍できるかというところ。これまで自分が培ってきたものが一気に集結するような、そんな感じだとディレクターは語る。

実は、このプロジェクトを取り巻く環境の全貌が分からないまま進行していたそうだが、ディレクターも驚くことに、メーカー内では約100のプロジェクトが動いていたそうで、その中からコンペで上位10チームがアメリカで行われるテックフェアに参加できるとのこと。チームは見事勝ち抜き、アメリカ行きが決定したのだった。

アメリカへの出展が決まった時点でインフィニティスタイルの仕事は終わりだと思っていた矢先、
一緒にアメリカへ展示員として参加を、という依頼。メーカー内でのここまでのミーティングにもコアメンバーとして参加していたこともあり、デザイン会社の域を超えられた感じがしたという。

こんな経験はそんなに多くはないかもしれない。しかし、当案件も、多くの仕事にあるように、最初の一歩は、まだカタチになっていないことをどうしよう、という相談。ディレクターは、カタチになっていないところからが面白いと思うタイプであるという。予測もしていない展開力だとか、プロセス力であるとか、飛躍力が強みなのかもしれない、と。